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東京そぞろ歩き

桐生のうどん

バイクを買ったので、慣らしがてら群馬のほうまで行ってきた。目的地は桐生市。ここでうどんを食おうという魂胆だ。実はこの辺の「北関東地方都市」には、名物というかうまいものが多い。宇都宮の餃子、佐野のラーメン、足利・太田の焼きそば、桐生のうどんなど。あ、桐生はうどんのほかにソースカツ丼も有名だ。

市内に数あるうどん屋の中で、オレの選んだのは「川野屋本店」。なんでその店?と聞かれると、なんとなく…としか答えられないんだけどね。しか~し、この川野屋本店、市内では結構な有名店である。しかも予想以上にすごい店だった!

表通りをちょっと路地に入ったところにある、小さな店がそれだ。ん~、暖簾はかかってるし、営業してるみたいだけど…。開けっ放しの入口から、店主らしきじいさんとばあさんがテーブルに座って何か話をしているのが見える。ほかにお客らしき人影はない。ほんとに有名な店なのかな、ここ。 

ちょっと入りづらかったが、意を決して入ってみた。隅っこの席に座ろうとすると、じいさんがオレを手招きする。
「こっちに座れ、こっちに」
「は、はあ…」

じいさんとばあさんが話をしていたテーブルに招かれた。じいさんはここの店主、ばあさんは近所の方で、老人会の相談に来ている模様。店内でお茶を飲みつつ話をしているところだったのだ。

「お前、どっから来た?」

い、いきなりお前とは…。わたし、お客なんですが…。

「あ、埼玉の草加というとこから来ました」
「草加か、そっちのほうからも結構来る人多いんだよな」

と言いつつ、なにやらゴソゴソとノートを持ってきてくれた。
どうやら、今まで来たお客さんがこのノートに住所を記帳しているらしい。パラパラめくっていると、結構遠方から来てる人も多い。わざわざここのうどんを食べたくて来てる人もいるんだろう。

そのあと、埼玉の親戚の話やらをばあさんもまじえてされたあと、
「で、なににするんだ?」
店内に入って10分後、ようやく注文を許されました。

「じゃ、てんぷらうどんを…」と言うと、
「なに~、それどこで聞いてきた?」
え、だ、だって店内のメニューに貼り出してあるじゃん…

「今はこれだ!」
指差された先には「ごま汁冷やしめん」の文字が。
ん~、てんぷらうどんが食べたかったんだけど、勢いに押されて
「じゃ、それでお願いします…」と、注文してしまう私でした。

しかしこのじいさん、もとい店主、パッと見いかにも職人!って感じの御仁だ。戦争に行ってきた、って言ってたのでもう80歳を超えてるだろう。しかし、その眼光はいささかも衰えることなしって感じでギラギラしている。桐生うどん会の創始者だそうで、この道一筋60余年だとか。それで3代目だということなので、ここのうどん屋の歴史は相当なものだろう。

じいさんがうどんを作ってる間、近所のばあさんとお茶を飲みながらお話。こういう店だから気安くていい、あんまりきれいな店だと気軽に遊びに来れないからねえ、と言っておられました。たしかに、ほんとに庶民的な店だ。創業100年なんて店だと、敷居の高そうな店も多いんだが。

うどんが出てきた。早速いただいてみる。
「どうだ?うまいか?」

そりゃ、うまいっす。うん、確かにうまい。まあ、味覚オンチな自分ではあるんだが(笑)。このごま汁冷やしめんっていうメニューはどうやら夏期間限定のようで、10月からは「ひもかわ」というきしめんのようなぶっというどんが限定メニューで出て来るそうだ。

「このひもかわはうめ~ぞ~。お前の今食ってるのはどちらかっていったらマズイほうだ」
そ、そ、そ、そんなあ~…これ、自分が勧めたんじゃないすか…

う~ん、けどひもかわ食べたくなったなあ。10月になったらまた来よっと。そんな川野屋本店、マックやファミレスのマニュアル接客に飽き飽きのあなた、本物の職人と触れ合ってみたいあなた、そんなあなたにお勧めです。メニューは自分で選べない可能性がありますが…

帰りにはわざわざ店の外まで出てきてくれて、見送っていただきました。この「味」って堂々とかかれた暖簾がまた素敵。写真も撮らせてもらいました。どうもありがとうございます、ごちそうさまでした!
桐生のうどん_c0072858_041896.jpg


by tigers00 | 2005-10-08 00:42 | 雑記
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