東京そぞろ歩き | |||||
生まれては 苦界 死しては 浄閑寺 荒川区三ノ輪にある浄閑寺は、通称「投げ込み寺」。吉原遊廓から500mほどの場所にあって、その通称どおり、吉原の遊女が死んだとき、投げ込まれるようにして埋葬されたお寺だ。ここに埋葬された遊女の数は2万人を超え、その死亡平均年齢は21.7歳だとか。 年季奉公として田舎から連れて来られ、廓から外に出ることも許されずに客を取り、死んだらこの浄閑寺に投げ込まれる-そんな若くして亡くなった遊女が2万人もここに眠っているかと思うと、…う~ん重たいよなあ。平均年齢21.7歳ってのもちょっと若すぎないか?しかし、それもたかだか200年くらい前の話なんだよね。 当然、亡くなった遊女たち一人ひとりにお墓があるわけでもなく、新吉原総霊塔にその遺骨が安置されている。 ちなみにこの浄閑寺、あのアラーキー大先生の菩提寺でもある。アラーキーの実家は浄閑寺のすぐ近所だったそうで、このお寺の境内はアラーキー少年の格好の遊び場だったらしい。上の写真の総霊塔によじ登ってターザンごっこをしたり、当時まだ鍵が付いていなかった総霊塔の遺骨置き場から、遊女さんたちの骨をかき出して、それを投げたりして遊んでたそうだ(^^; 今はしっかりと鍵が付いてました。 境内の片隅には、角海老楼の遊女、若紫の墓がある。明治の頃の遊女で、22歳で亡くなっているが、ちゃんとお墓のある遊女は逆に珍しい。 この若紫、永井荷風の「断腸亭日乗」によると、楼内一の遊妓でその心も人柄もとてもやさしい、素晴らしい遊女だったそうだ。あと5日で年季があけ、男と所帯を持つことも決まっていたそうである。しかし、幸せを目の前にして悲劇が襲った。その日、たまたま登楼してきた男に刺殺されてしまったのだ。 その犯人の男、別の店の、想いを募らせていた遊女と無理心中をしようとして吉原にやってきたが果たせず、ヤケクソになって角海老に行き、たまたま相手をした若紫に対して凶行に出たんだそうだ。なんとも痛ましい話だ。 その若紫のお墓には今でもちゃんと花が手向けられている。角海老の店はまだ吉原にあるし、関係者の人が花を供えにやってくるんだろうか。そういえば、夏場には「角海老宝石」と書かれた風鈴が、お墓の横で揺れてたなあ…
by tigers00
| 2007-02-24 00:31
| 歴史散歩
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